英語の原著と日本語の翻訳書を比較する
◆ 失敗とhigh performance
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本の主題 |
本の副題 |
原著 (英語) |
Black Box Thinking |
Marginal Gains and the Secrets of High Performance |
翻訳書(日本語)
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失敗の科学 |
失敗から学習する組織、学習できない組織 |
・ 英語の書名は、ブラックボックス的思考(が事故原因の真の要因を解き明かす)/ 一つひとつの小さな努力の積み重ねが(組織にせよ個人にせよ)高いパフォーマンスにつながる、とのことを意味している。
・ 上表の英語の副題はペーパーバックのもので、ハードカバー本では次のようになっている。
Why Most People Never Learn from Their Mistakes--But Some Do
・ 日本語の書名は、失敗から学ぶことができる組織と学ぶことができない組織があることを科学的に明らかにすることを意味しており、そこからは原題にあったブラックボックスも小さな努力の積み重ねも消えている。
◆ Black Box Thinkingとブラックボックス
・ ブラックボックスは「技術のブラックボックス化」といった、中身が見えなくなる、中身を見えなくすることを意味する場合もあるが、この本ではその意味は全くない。 Black Box は航空機の事故調査に用いられるブラックボックスのことであり、それはThinkingを修飾する語として、すなわち「ラックボックスによる事故分析と同じように、一つひとつは小さいが疑いようもない事実を把握する努力を積み重ねるように思考すること」を主張するために用いられている。
◆ 「英語の原著と日本語の翻訳書を比較する」とともに、日常的に「英語と日本語で考えてみる」ことにより、得るべきものが多くなるのかもしれない。
英語版目次 |
日本語版目次 |
Part1: The logic of failure
1. A Routine Operation 2. United Airliner 173 3. The Paradox of Success
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第1章 失敗のマネジメント
1. 「ありえない」失敗が起きたとき、人はどう反応するか 2. 「完璧な集中」こそが事故を招く 3. すべては「仮説」にすぎない
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Part2: Cognitive Dissonance
4. Wrongful Convictions 5. Intellectual Contortions 6. Reforming Criminal Justice
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第2章 人はウソを隠すのではなく信じ込む
4. その「努力」が判断を鈍らせる 5. 過去は「事後的」に編集される
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Part3: Confronting Complexity
7. The Nozzle Paradox 8. Sacred Straight?
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第3章 「単純化の罠」から脱出せよ
6. 考えるな、間違えろ 7. 「物語」が人を欺く
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Part4: Small Steps and Giant Leaps
9. Marginal Gains 10. How Failure Drives Innovation
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第4章 難問はまず切り刻め
8. 「一発逆転」より「百発逆転」
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Part5: The Blame Game
11. Libyan Arab Airlines Flight 114 12. The Second Victim
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第5章 「犯人探し」バイアス
9. 脳に組み込まれた「非難」のプログラム 10. 「魔女狩り」症候群 そして、誰もいなくなった
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Part6: Creating a Growth Culture
13. The Beckham Effect 14. Redefining Failure
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第6章 究極の成果をもたらす マインドセット
11. 誰でも、いつからでも能力は伸ばすことができる
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Coda: The Big Picture |
終章 失敗と人類の進化
12. 失敗は「厄災」ではない
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注:英語版(ペーパーバック)と日本語版は一対一に対応していない。もしかしたら日本語版は英語版(ハードカバー)を翻訳したものかもしれないが、確認していない。
(2023-11-6記)